１０．すると、される
良いことも悪いことも、するとされる。
これもまた、「あなたがしたことが、あなたに返ってくる」という法則の一つです。たとえば、「情けは人のためならず」、「自分にされていやなことは人にするな」ということわざがありますよね。情けは人のためならずは、「相手にした良いことは、自分に返ってきますよ」という意味。つまり、相手に対して喜んでもらえることをすれば、今度は自分が相手から喜ぶことをしてもらえる、ということです。「出すと入る」と同じことです。一方で、自分にされていやなことは人にするなは、「相手にしたいやなことは、自分に返ってきますよ」という意味です。昔の人も、ことわざを通して【良いことでも悪いことでも、あなたがしたことが、あなたに返ってきますよ】と伝えてくれているのです。
自分がされて嫌なことは人にしない
では、どうしてされて嫌なことは、しない方が良いのでしょうか。それがピンと来ないから、小さいころから聞きなれた言葉なのに、ついないがしろにしてしまいます。
答えは、【「されて嫌なこと」をすると、「されて嫌なこと」そのものと同じ状況になるのではなく、「された相手が味わった嫌な感情」と同じ感情を自分が味わうことになってしまうから】です。
たとえば、過去に約束を破り、誰かを悲しい気持ちにさせてしまったとします。するとしばらくして身の回りで嫌なことが起き始めます。ここでポイントなのは、自分がしたことと全く同じことが起こるのではなく、「約束を破られて悲しい気持ち」を味わうことになるということです。つまり、過去に自分が、誰かに味わわせてしまった気持ちを、今度は自分が味わわされるのです。
また、同時に「約束を破ろうとしているのではないか」と周りを疑いの目で見てしまうようになります。自分がしたことは、相手もする、と脳はなんとなく思ってしまうからです。
つまり、自分が約束を破ったばっかりに、「約束を破られた悲しい気持ち」「自分も誰かに約束を破られるのではないかという恐れ」をの二つのイヤな気持ちを味わうことになってしまうのです。
されて嫌なことは人にしないというのは、【自分が味わいたくない感情は、相手にも味わわせてはいけない。】ということです。結局巡り巡って、自分がその感情を味わってしまうことになるからです。
もしトラブルに見舞われていたり不安がぬぐえなかったりするときは、今味わっている感情を、昔誰かにさせていなかったか、考えてみてくださいね。自分の身に起こっているいやなこと・不安で苦しんでいることは、自分が過去にしたことでもあるのかもしれません。
うっかり、嫌なことをしてしまったら・・・・
ということは、うっかり相手に嫌なことをしてしまったとき、嫌なことが自分に返ってくるのを待つことしかできないのでしょうか。大丈夫、心配することはありません。どんな人も完璧人間ではありません。約束を破ってしまうこともあるし、その気はなくても相手に嫌な思いをさせてしまうこともあるでしょう。もちろん、私もそうです。では、そういったときに、いつもひどいことが返ってくるのか？というと、そういうわけではないのです。
されて嫌なことをして、自分に返ってくるのは、全く謝る気持ちをもたない傲慢な人です。一方で、嫌なことが返ってこない人もいます。それは、心から反省することができる人です。分かりやすく言うと、【謝ること、許すことができる人】です。
まず大切なのは、謝ることです。「悪かったな、申し訳なかったな」と素直に自分の悪かったところを振り返り、「申し訳なかった」「ごめんね」と心から伝えることがとても大切です。
もう一つは、許すことです。大事なことはしっかりと守りながらそれ以外は許すのです。ここで注意してほしいのは、許すことは、もうすべてはどうでもいいと投げやりにするということでは無いということです。許すことで、たとえば相手との関係といった、一番あなたにとって大事なものを守ることになるのです。もし相手との関係が一番あなたにとって大事ならば、トラブルが起きてからの自分のイライラ、不満、怒りは、すべて捨てましょう。すると、あなたの手に入るのは「相手との関係の修復」です。【許すこととは、一番大事なものだけを残し、それ以外はすべて捨てること】です。
「あなたがしたことが、あなたに返ってくる」のだから、あなたが心から謝り、許せば、相手も心から謝り、許してくれます。すると、それ以上悪いことは起こらないのです。もしそうならなかったとしたら、それは心から反省していないときでしょう。なぜなら心から、という気持ちも、本当は本心じゃないけど、という気持ちも、すべてがあなたに返ってくるのですから。
今日のまとめ
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